一度CAを辞めた私が、また客室乗務員に戻ってきた理由

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客室乗務員

今回は、先輩客室乗務員のAさんに伺った内容から記事にしました。
(※Aさんには、ブログ記事にさせていただくことは了承を得ております)

Aさんは、大学卒業後に日系の航空会社で客室乗務員(CA)として約6年間働いたあと、人材派遣会社に転職しましたが、「やっぱり自分の居場所は空の上だ」と気づき、もう一度CAとして空の世界に戻ってきたんです。今回は、そんなAさんがなぜ一度離れたCAに戻ろうと思ったのか、その背景をお話ししていきます。

これを知りたい方におすすめ!
・どうして客室乗務員を辞めたのか
・客室乗務員の仕事の何がいいのか
・客室乗務員に向いている人の特徴
・オフィスワークとの違い

● なぜCAを辞めたの?

Aさんは、日系航空会社で国内線と国際線の乗務を6年間してきました。不規則な勤務や、お客様からのクレーム対応など、正直ストレスを感じる場面も多かったそうです。それでも、同期と支え合いながらフライトを頑張ってきました。

そんな中で、ふと「ずっとこの働き方を続けていくのかな?」「ほかの世界も見てみたいな」と思うようになったそうです。もっと違う視点で自分を試してみたい――そんな気持ちがだんだんと強くなっていったそうです。

そしてAさんは、航空会社から一度離れ、転職活動を経て人材派遣会社のオフィスワークに挑戦する決意をしました。

・辞めた時の周囲の反応

Aさんが辞める決断をしたとき、「えっ、辞めちゃうの?もったいない!」という驚きの声や、「夜勤がきつそうだったから、それも良いんじゃない?」という声が多かったそうです。

でも、意外だったのは、ある先輩の言葉。「辞めるなら早いほうがいいよ。どんな仕事も続けるなら早く決めたほうが、次に進みやすいから」――その言葉に、Aさんは背中を押されたと振り返ります。確かに、いつまでも迷っているわけにはいかない。今がそのタイミングだと思えた瞬間だったそうです。

一方で、家族や親しい友達は、「やりたいことがあるなら、挑戦してみたらいいよ」とあたたかく応援してくれたそうです。Aさんも、迷いはあったけれど、「新しい環境に飛び込むことが、今の自分には必要だ」と感じ、決断したそうです。

●オフィスワークとCAの違いは?

AさんがCAからオフィスワークに転職したとき、最初はかなりギャップを感じたそうです。もちろん、どちらも仕事の中で大事な役割を果たしているけれど、その内容や働き方は全く違ったんだとか。

・CAの仕事の良かったところ

CAとしての一番の魅力は、何と言っても「一期一会の出会い」という部分でした。毎回違うフライト、違うお客様と接するたびに、どんな小さなことでも「ありがとう」と言ってもらえる瞬間が何よりも嬉しかったそうです。また、チームとして一緒に協力して働くことができる点も、Aさんにとっては大きな魅力でした。どんなに大変な状況でも、仲間と一緒に助け合って乗り越えていく感覚は、オフィスワークでは味わえない特別なものだったそうです。

さらに、毎日違うクルーと出会えることも、CAとして働く楽しさの一つだったとのこと。「一緒に働くメンバーが毎回違うので、毎回新しい仲間とチームを組んで、自然にコミュニケーション能力も高まるんですよね」とAさんは言います。新しいクルーと意気投合することもあれば、逆に刺激的な考え方に触れられることも多くて、その度に新たな発見があったそうです。

それに、国内外の各地にステイできるのも大きな魅力でした。「仕事の合間に観光地を巡ることができるなんて、普通の仕事ではありえない体験ですよね」と笑顔で語るAさん。特に国際線のフライトでは、買い物や食事を楽しむ余裕もあり、いわゆる「仕事」という名目で海外に行けることも大きな魅力だったそうです。

・オフィスワークの良かったところ(CAとの比較)

オフィスワークに転職して感じた一番の良さは、「規則的な勤務時間」と「休憩時間の確保」。不規則なシフト勤務と比べて、心身の安定につながったそうです。これはCAの会話ではあるあるですが、「本来の人間らしい生活ができました」と言っていました。

また、Aさんのいた会社ではリモートワークが導入されていたため、通勤せずに働ける日もあり、それがかなり快適だったとか。

さらに、大学時代からの友人と時間を合わせやすくなったのも、CA時代にはなかった嬉しい変化。「土日休みのおかげで、友人との予定が立てやすくて、久しぶりに学生時代の仲間と集まれたりしたのは本当に嬉しかったです」と笑顔で話されていました。

そしてもうひとつ印象的だったのが、「いわゆる社会人っぽいイベント」を初めて体験できたこと。CA時代にはなかった、職場の新年会や忘年会に参加する機会があり、会社の同僚たちと部署を超えて交流できたのが新鮮だったそうです。「ああ、こういうのが“ザ・会社員”って感じなのか〜と思いました」と、少し照れくさそうに語っていました。

・オフィスワークへの不満(CAとの比較)

一方で、オフィスワークならではのストレスもあったようです。まず、毎朝の満員電車での通勤はかなりの苦痛だったとのこと。「朝は特に満員で、通勤だけでエネルギーを消耗してしまう日もありました」と語るAさん。さらに、土日休みはスケジュールは立てやすい反面、出かける先はどこも混雑していて、リフレッシュできないという矛盾もあったそうです。

そしてもうひとつ、意外と精神的にこたえたのが「人間関係」だったそう。オフィスでは毎日同じ人と顔を合わせるため、どうしても合わない人とも日々接しなければならず、そのストレスがじわじわと積もっていったと話します。「CA時代のように毎日違う人と働く環境に比べると、ちょっと息が詰まることもありました」とのことでした。

さらに、残業文化にも驚かされたようです。周りの人たちが毎日のように遅くまでオフィスに残って仕事をしているのを見て、「定時で帰るのが気まずい」と感じたことも多かったとか。「仕事が終わっていても、なんとなく帰りにくい空気があるのはつらかったです」と話してくれました。

また、Aさんが勤めていたのは人材派遣系の会社で、比較的規模が小さめだったこともあり、体制がまだ整っていない部分も多かったそうです。CA時代に働いていた航空会社は誰もが知る大手企業で、業務がきちんとマニュアル化されていて、蓄積されたノウハウのもとで働けたのに対し、新しい職場では担当外の業務も日常的にこなさなければならず、その点でも戸惑いがあったようです。「いろんなことを任せてもらえる反面、何でもやらなきゃいけない感じで…結構大変でしたね」と、少し苦笑いを交えて話してくれました。

● もう一度CAになると決断した理由は?

「やっぱりCAの仕事が好きだった」——最終的にそう実感したことが、Aさんが復帰を決めた一番の理由でした。

オフィスワークを続ける中で、生活のリズムは整い、社会人らしい経験も重ねることができました。それでも、どこか心の奥では「物足りなさ」を感じていたといいます。

そんな気持ちがはっきりしたのは、出張や久しぶりの旅行で飛行機に乗った時のこと。機内でサービスを受けながら、「もし私だったらこうお声がけするかも」「このタイミングアナウンスを入れるかも」と、自然と“乗る側”ではなく“働く側”の目線で見てしまっている自分に気づいたそうです。

「その瞬間、“あ、私まだこの仕事に未練があるんだな”ってはっきりわかりました」とAさん。

もちろん、CAの仕事は華やかに見えて、実際には体力的にも精神的にもハードな面があります。不規則な勤務やお客様対応で大変だった日も少なくありません。でも、毎日違う仲間とチームを組んで、ひとつのフライトをつくりあげる一体感や、お客様から直接いただく「ありがとう」に勝るやりがいはなかったといいます。

さらにAさんは、「世間でも信頼を得ている航空会社だからこそ経験できたことがたくさんあった」とも話してくれました。多国籍の乗客に対応する経験や、厳しいマニュアルと安全基準の中で自分を成長させられたこと、そして何より、あの環境で働くことで得られた誇りのようなものが、ずっと心に残っていたのだそうです。

「もう一度、あの環境で、自分らしく働きたいと思ったんです」と、Aさんは穏やかな表情で語ってくれました。

・復帰を迷っていた頃にしていたこと(リサーチ・準備)

「またCAに戻りたいかも…」そう思いはじめた頃、Aさんはすぐに動いたわけではありませんでした。むしろ、「本当にまたCAとしてやっていけるのか?」「そもそもCA以外に、自分に合う道はないのか?」と、かなり時間をかけて悩んでいたそうです。

実際、他の仕事でもやりがいや成長を感じられるかもしれないと考えて、転職サイトをのぞいてみたり、キャリア相談の情報を集めてみたりと、いろいろな可能性をリサーチしていたとか。「他の職業に興味がなかったわけじゃないし、“CAに戻る”って決めつけるのはちょっと違うなと思ってました」と振り返ります。

でも、いろいろと考えたり調べたりしていくうちに、どんな仕事を想像しても「やっぱりCAの仕事って特別だったな」と思う気持ちが大きくなっていったそうです。

そんな中でAさんが知ったのが、「経験者採用」や「元同僚からの紹介制度」の存在でした。新卒や未経験者の採用とは別に、元CAを対象とした募集枠がある会社もあり、「一度辞めた人でも、戻れる道があるんだ」と希望を感じたといいます。タイミングよく元同僚からも「今なら紹介制度使えるよ」と声をかけてもらい、現実的に復帰を意識するようになったそうです。

その後は、現役で働いている友人に会社の今の雰囲気を聞いたり、勤務スタイルや制度の変化を確認したりと、具体的な情報を集め始めたAさん。「何年か離れていたからこそ、“戻る前にちゃんと知っておきたい”という気持ちが強かったです」と話してくれました。

久しぶりにTOEICの勉強をしたり、受験に向けて準備をしたそうです。

「CAに戻るって簡単に決めていいことじゃないと思ってたので、気持ちの整理も含めて、かなり慎重に準備しました。でも、過去にいただいたお客様からの手紙や、同期との写真を見返した時、“ああ、やっぱりこの仕事が好きだったな”って気づいたんですよね」。

復帰に向けた準備は、スキルや生活習慣の見直しだけでなく、自分の気持ちをじっくり確かめるプロセスでもあったようです。

● CA復帰後の心境変化はある?

CAとして現場に戻ってみて、Aさんの中にはどんな変化があったのでしょうか。

「やっぱり私は、この仕事が好きなんだな」と実感した――それが一番の気づきだったそうです。乗務中、お客さまから感謝の言葉をかけてもらったり、クルー同士で協力し合って無事にフライトを終えた時など、「この瞬間のために戻ってきた」と感じることがたびたびあったとか。辞める前には“慣れてしまっていた”日常が、今はとてもありがたく、新鮮に感じられるようになったと話してくれました。

「昔は当たり前に思っていたけど、国内のステイでご当地グルメを食べたり、海外のフライトでちょっとした買い物を楽しんだりできるのって、すごく恵まれているなって思うようになりました」と、以前よりも仕事の魅力に素直に向き合えるようになったようです。

・ブランクによる不安と復帰時のギャップ

もちろん、順風満帆というわけではなかったようです。数年のブランクを経ての復帰にあたり、「ちゃんとまたやっていけるのか」という不安は大きかったといいます。

「手順はなんとなく覚えていても、細かいルールや設備の仕様が変わっていて、最初は戸惑うことも多かったです」とAさん。とくにコロナ禍以降の衛生対応やサービススタイルの変化は、現場感覚が空いていた分、ギャップを感じた部分だったとか。

また、「新人の頃は“できなくて当然”だったけど、今回は“経験者なんだからできて当然”という空気もあって…プレッシャーは大きかったです」と、率直な心境も語ってくれました。

それでも、同期や周囲の温かいサポートに助けられながら少しずつ感覚を取り戻していき、「大変だったけど、戻ってきてよかった」と思えるようになったと話していました。

● これからCAを目指す人や、迷っている人に伝えたいことは?

Aさんに「これからCAを目指す人、あるいは一度離れてまた戻ろうか迷っている人に、何か伝えたいことはありますか?」と聞いたところ、こんな答えが返ってきました。

「正直、大変な仕事です。華やかなイメージがあるけれど、体力的にも精神的にもハードな面は多いし、思うようにいかないこともあります。でも、その分、得られるものも本当に大きいと思います」

たとえば、人との出会い。毎便違うクルーと働くからこそ、刺激があって、自分にはない価値観に出会える。それに、年齢もバックグラウンドも違う仲間と一緒に同じ目標に向かって動ける環境は、なかなか他にはないといいます。

「辞めてみて初めて気づくこともたくさんありました。だから、少しでも“やってみたい”とか“戻りたい”と思う気持ちがあるなら、迷わず一歩踏み出してみてほしいです」

もちろん、他の仕事と比べて向き・不向きはあるし、人生のステージによって大切にしたいことは変わるもの。だからこそAさんは、迷っていた時期には「本当にCAじゃなきゃダメなのか?」という自問自答も重ねたそうです。

「でも最終的には、“やっぱり私はこの仕事が好き”というシンプルな気持ちに戻ってきました」

と、教えてくれました。

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