多くの業界でAI・人工知能技術が活用されるようになり、日常生活でも大いに役立っています。
今回は、生活をより豊かにするAI・人工知能が航空業界でどのように使われているのか、また今後どのように活用されるのかについて紹介したいと思います。
・航空業界で現在使われているAI・人工知能技術
1、出入国時の顔認証ゲート
羽田空港などにある出国・入国の際に使用する自動ゲートには、AIの顔認証技術や指紋認証技術が使用されています。
これにより、確実にスムーズに出入国が行えるようになりました。
しかし、出国の際のスタンプを楽しみにしていたのに・・・という声もあります。
そのような場合には、ゲート付近にある事務室へ行けば押してもらう事ができます。
2、X線手荷物検査
手荷物検査も、AIの技術進歩により精密な検査ができるようになりました。
さらに、スピードも早くなったことで保安検査場の混雑が緩和されました。
その他に、大手航空会社は自動手荷物預け機の導入を進めています。
ANAは、2015年から自動手荷物預け機を導入しており、JALは2020年に導入を開始しました。
JALは、AIがタグの読み取りや荷物の個数・形状を認識し、手荷物を判断するという説明がされています。
自動で手荷物が預けられるようになることで、グランドスタッフの人員を削減する事ができます。
しかし、重量が重過ぎる手荷物やベビーカーなどの繊細な手荷物は自動では預ける事が難しいため、まだまだ完全に機械化することは難しいです。
3、コンシェルジュのAI化
2020年3月に羽田空港国際線ターミナルで、AIコンシェルジュによる案内サービスの実証実験が行われました。
羽田国際線ターミナルに導入されたAIコンシェルジュは日本語、英語、中国語、韓国語に対応しており、来日した空港利用者へスムーズな対応ができるのも魅力の一つである。
その他に、ANAでは2017年から空港での自走ペッパーの実証実験がされている。
ペッパーが手荷物カウンターとチェックインカウンター前で案内、出発ゲートでの案内サポート、到着手荷物カウンターのサポート、4つの業務を行う実験がなされた。
現在も羽田空港でペッパー君が活躍しています。
4、監視のためのAIカメラ
空港は、公共の場の中でもハイジャックの標的となりやすい場所の一つです。
そのため、細かな部分までしっかりと警備がされています。しかし、至る所に警備員を配置するのは難しいです。
そこで導入されているのが、AIカメラです。
AIカメラは、不審な人の動きを察知したり、危険物が置き去りにされたりしていないかを検知します。
人の目だけでは、届かない範囲もAIカメラにより安全が守られています。
また、成田空港ではAI技術が導入されている警備ロボットがターミナルの監視を行なっています。
・航空業界で、今後のAI技術導入予定は?
1、操縦の自動化
驚くことに、パイロットが手動で飛行機を操縦する時間は平均で10分にも満たないという発表をCNNが行いました。
現在、多くの飛行機に自動操縦が導入されていますが、離陸は手動で行なっています。(着陸は自動で可能な機種が多くあります)
その理由は、離陸操作は複雑であり、滑走路に多くの飛行機が行き交っており、その日、その便の条件や環境により異なるためとされています。
しかし、既にエアバス社やボーイング社では自動での離陸も成功しているため、今後全て自動操縦になるという未来も近いです。
2、トーイングカーの自動化
トーイングカーは、空港施設などから飛行機へ荷物の搬送をする車のことです。
JALは、2019年10月から、トーイングカーの自動運転の実証実験を行なっており、2021年に成田空港で導入することを発表しました。(コロナにより予定変更の可能性あり)
自動化とは言え、飛行機の停まっている駐機場は大変危険な場所であるため、常に監視役の運転手が乗った状態で走行する。
ANAも同様に自動トーイングカーの実証実験を2020年2月に行なっている。
トーイングカーの自動化には、国土交通省も積極的に動いており、近いうちに多くの空港で自動トーイングカーの導入がされることも予想できる。
3、制限エリア内でのバスの運転自動化
制限エリアとは、お客様の立ち入ることはできない駐機場などのエリアのことです。
飛行機に乗り降りする際、バスを利用することもあると思います。その際、パイロットや客室乗務員もお客様と同様にバスで移動をしています。
その従業員の乗るバスの移動を自動運転で行う取り組みをANAが行なっており、2025年には旅客を乗せるバスの自動化を行うとしています。
4、車椅子の自動運転
シンガポールのチャンギ空港では、一人のスタッフで複数人の車椅子ユーザーを搭乗口まで案内できるような、自動運転技術の備わった車椅子の導入、実証実験が2019年から行われている。
車椅子の操作は、一人が付き添って行うため一人で操作できるようになれば、一度に多くの人員が必要ではなくなるため、生産性向上に大きく繋がる。
今後、日本の福祉施設や空港での導入も期待されている。
・航空業界はAI・人工知能でどう変化する?
航空業界は、公共交通機関でありサービス業でもあります。
どこの国の航空会社もお客様を安全に目的地まで届けることが航空会社の使命であることに代わりません。
より安全でお客様が安心して飛行機や空港を利用するために、既にAI・人工知能技術は欠かせない存在になっています。
特に航空機で起きる事故の多くがヒューマンエラー、人的ミスによるものです。
しかし、機械も人の手によって作られたものであるため、B737MAXのような事故も起きてしまいます。
今後の操縦等に関わる自動化は、監督者や技術者、パイロットが安全かどうかを確認しながら進められていくと考えられます。
航空機自体は、既に離陸から着陸まで自動で行えるまで進歩している為、旅客便での運用も近いうちにあることでしょう。
一方、お客様とのサービスに関しては、対面サービスに重きを置きながら、機械化で効率良く、生産性をあげるという方向に向かっています。
航空会社のサービスは、常に高いサービスが受けられるという期待が大きいため、AIや人工知能を使ったサービスとのバランスが重視されます。
また、普通の接客とは違い、お客様の安全を守る仕事でもあるため、お客様の顔色や言動でトラブルを防げることもあります。
機械の誤作動や不具合で、搭乗ゲートをすり抜けてしまうなどのことがあれば大惨事を招くことになります。
今後は、機械化が進むことでお客様と接するスタッフの数は減る可能性はありますが、航空会社はコロナで新しい事業にも力を入れ始めています。
AI・人工知能を使った技術開発を進める企業との共同開発や機械化を進めたりしています。
JALは自宅からリモート操作のできるお客様対応ロボットの開発を行なっています。
ANAホールディングスは、「アバターイン株式会社」というアバター事業を進める会社を設立しました。
それぞれの航空会社に共通していることは、お客様との接点を持ちながら効率よく、高いサービスを提供できることを念頭に機械化を進めているということです。
引き続き、航空業界の機械化についてチェックしていきたいと思います。
最後まで読んで下さり、ありがとうございました。